アフリカの学生をさくらサイエンスプログラム2に招待しました

宇都宮大学留学生・国際交流室/世界展開力強化事業推進室では、2025年2月12日~21日に、さくらサイエンスプログラムに採択された「SDGs×農業に貢献する先端アグリサイエンスとアグリビジネス」を実施し、ジョモケニヤッタ農工大学(JKUAT、ケニア)から学生4名、メル科学技術大学(MUST、ケニア)から学生3名と引率教員1名、アディスアベバ大学大学(AAU、エチオピア)から学生2名と引率教員1名の計11名を招へいしました。招へい学生は、宇都宮大学とアフリカ6大学共同の「大学の世界展開力強化事業」(以下UU-A)で開講した「Global Management」で優秀な成績を修めた大学院生から選抜されました。

プログラムの日程は以下のようでした。

【12日(水)研修初日】

2月11日(火)にJKUATとMUSTのメンバーはナイロビから空路出発し、アディスアベバ空港でAAUのメンバーが合流し、12日(水)に成田空港に到着。さらに宇都宮へ移動。

【13日(木)研修2日目】

午前は、手続き後にオリエンテーションを行い、山根農学部長が宇都宮大学の概要を説明。

昼は生協食堂で昼食の取り方を説明。

午後は、バイオサイエンス教育研究センターで深沢博士による最先端のMolecular Agricultureとバイオインフォマティクスの講義を拝聴し、遺伝子解析機器や遺伝子組換え植物などを見学。

写真1:深沢博士による最先端のMolecular Agricultureとバイオインフォマティクスの講義
写真1:深沢博士による最先端のMolecular Agricultureとバイオインフォマティクスの講義

【14日(金)研修3日目】

UU-Aや別のさくらサイエンスプログラムの招へい者と合同で午前9時から学長と面会。

写真2:総勢30名のアフリカからの招へい者が宇都宮大学学長を表敬訪問
写真2:総勢30名のアフリカからの招へい者が宇都宮大学学長を表敬訪問

午前10時半からは、黒倉博士の講義「農作物のゲノム編集と品種改良」を拝聴し、遺伝子組換え植物に関して議論。

午後は、「ゲノム編集トマトとその元になった品種を比較し、GEトマトで本当に栄養成分(GABA)がアップしていることを確認」する実験を行い、GABA含有量の増加を確認。

午後5時からはオンデマンド開催の「UU-A学生サミット2025」開会式に出席。

写真3:「UU-A学生サミット2025」開会式に出席
写真3:「UU-A学生サミット2025」開会式に出席

【15日(土)研修4日目】

午前は、アグリステーション誠和にて最先端技術の施設園芸を見学し、総合科学としてのアグリサイエンスを生かした生産現場を見学。

午後は、益子イチゴ団地にて実際にイチゴ狩りを体験し、日本一の生産量を誇る栃木県のイチゴ栽培技術と観光が融合したアグリビジネスの現場を見学。

写真4-1:アグリステーション誠和におけるハウスのコンピューター制御の説明
写真4-1:アグリステーション誠和におけるハウスのコンピューター制御の説明
写真4-2:イチゴ狩り体験の様子
写真4-2:イチゴ狩り体験の様子

【16日(日)研修5日目】

午前は、宇都宮大学農学部付属船生演習林にて、循環型林業に関する大島博士の講義「宇都宮大学での持続的林業生産」を拝聴。その後、大声大会で森林科学科の学生と交流。

昼は道の駅「日光」の「ニコニコ本陣」で昼食をとり、アグリビジネスの最前線を見学。

午後は、日光東照宮を見学し、日本の歴史を学び、日光の自然に触れ、観光と農業のコラボレーションについて考える機会とした。

写真5:演習林で森林科学科の学生と交流
写真5:演習林で森林科学科の学生と交流

【17日(月)研修6日目】

午前は、UU-Aの招へい教員・学生と一緒に宇都宮大学農学部付属農場を見学し、池田博士の講義「タマネギの生産性を遺伝子解析で解き明かす」を拝聴。農場見学中に日本農業新聞の記者の取材を受ける。

午後は、タマネギの肥大に関わる遺伝子の発現を検定するために、タマネギからRNA抽出と逆転写PCRを実験。

午後5時からはオンデマンド開催の「UU-A学生サミット2025」シンポジウムⅠに出席。

写真6:タマネギの肥大に関わる遺伝子発現を検定する実験の様子
写真6:タマネギの肥大に関わる遺伝子発現を検定する実験の様子

【18日(火)研修7日目】

午前は、煉谷博士の講義「植物病の診断と検出」を拝聴。

午後は、実験「植物ウイルスの遺伝子検出」で、アフリカでも広く発生しているキュウリモザイクウイルスのゲノムRNAをRT-PCR法で、外被タンパク質をELISA法で検定。

午後5時からはオンデマンド開催の「UU-A学生サミット2025」シンポジウムⅡに出席。

写真7:AAUの引率教員のDr. Shambel Alemu CHENGEREがシンポジウムⅡで講演
写真7:AAUの引率教員のDr. Shambel Alemu CHENGEREがシンポジウムⅡで講演

【19日(水)研修8日目】

午前は、夏秋教授の講義「農作物の病害を防除するワクチンの開発とワンヘルス」および園田教授の講義「殺虫剤抵抗性農業害虫と天敵による管理」を拝聴。

午後は、前日に引き続きウイルスのゲノミRNAをRT-PCR法で、外被タンパク質をELISA法で検定し、その結果を確認。

午後5時からはオンデマンド開催の「UU-A学生サミット2025」シンポジウムⅢに出席。

写真8:MUSTの引率教員のMr. Benson Mutuma KARIMBAがシンポジウムⅢで講演
写真8:MUSTの引率教員のMr. Benson Mutuma KARIMBAがシンポジウムⅢで講演

【20日(木)研修9日目】

午前は、ここまでの研修内容を取りまとめて活動成果発表会用の資料を作成。また「UU-A学生サミット2025」に参加。

午後は、本プログラムで招へいした11名が活動成果発表会で宇都宮大学での体験を報告。さらに、本学の教員・大学院生やUU-Aで招へいした教員・学生と交流し、、UU-A学生サミットの閉会式および優秀発表賞授賞式に参加。

写真9:活動報告会後にCertificateを手に全員で記念撮影。中央が実施主担当者。
写真9:活動報告会後にCertificateを手に全員で記念撮影。中央が実施主担当者。

【21日(金)研修10日目】

最終日の2月21日は宇都宮からバスで東京に移動し、日本科学未来館を見学後、成田空港から午後8時過ぎに帰国の途に着き、翌日アジスアベバを経てナイロビに無事到着。

最後に、アフリカの3大学と宇都宮大学の交流発展の機会を与えていただいたJSTおよびさくらサイエンスプログラム、並びに実施にご尽力を頂いた関係各位に深く感謝いたします。

宇都宮大学では、SDGsの実現に向けた持続的で生産性の高い農業の確立に貢献できる人材育成を目指し、今後もアフリカをはじめ世界各地との連携を強化していきます。

なお、本プログラムの活動状況は2025年2月20日(木)の日本農業新聞・北関東版に掲載されました。