「根寄生雑草:生物学と防除法」
講師:宇都宮大学 米山 弘一 名誉教授
日程:2021年11月26日(金)17時30分~19時00分)
開催方法:オンライン(Zoom)
米山弘一宇都宮大学名誉教授が、「根寄生雑草:生物学と防除法」の題目で講演を行った。 まず、寄生植物の定義、種類の説明の後、主要な根寄生雑草であるストライガ属(単子葉植物に寄生)及び オロバンキ属(フェリパンキ属)(双子葉植物に寄生)の特徴について説明があった。 ストライガ属は特に、アフリカにおける農作物の被害の原因となっている。 次に主要な根寄生雑草の世界分布が示され、根寄生雑草のライフサイクルが説明された。 1本の根寄生植物から1万~50万個の種子が生産され、この種子が20年以上も生存可能であるのは驚異的である。 続いて、根寄生雑草の天然発芽刺激剤であるストリゴラクトン類の化学構造、種類、分析法等が述べられた。 ストリゴラクトン類は、3つの機能を有する。すなわち、植物のシュートの分枝阻害、アーバスキュラー菌根菌の 菌糸分枝誘導、および根寄生植物の発芽刺激である。また、根寄生植物は、ストリゴラクトン類の種類によって 宿主植物を識別する。その後、根寄生雑草の防除法について詳細に説明された。防除法としては、 抵抗性品種の育種(ストライガ属抵抗性のソルガム品種の例)、土壌燻蒸法、除草剤抵抗性品種と 除草剤の組み合わせ(国際トウモロコシ及びコムギ改良センターの取組)、 生物除草剤(ストライガ属の病原菌を活用したケニアのKichawi Kill™)、 そして”Push-Pull”技術(ナピアグラスとヌスビトハギ属植物の組み合わせ)などがある。 講演の後、ジョモ・ケニヤッタ農工大学(ケニア)のJohn Mwibanda Wesonga准教授により、 講演に関するコメントが述べられた。その後、参加者からの質疑応答が行われた。
■シンポジウム動画
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